北京五輪2022で問題となっているジャンプ混合団体競技のスーツ規定違反による失格騒動。
競技終了後には騒動がますます拡大し、オリンピックスキージャンプ競技史上最も衝撃的な出来事の1つとして話題になっています。
そこで女性選手の競技器具や装備のチェック管理を任されていたのがアガ・ボンチフスカ審査員です。
アガ・ボンチフスカ氏は選手ではありませんが、今回の件もあり本人の写真が多くネット上にもあげられていました。
スキージャンプを跳んだ後に失格になった選手が4カ国5人に上ることから。
「なぜこんなに多くの選手が失格になったのか」
「検査の基準がおかしい」
「検査された選手とされていない選手がいるのはおかしい」
など機材検査員であるアガボンチフスカさんに対しての批判が世界中からあがっています。
今回の記事では、そんな問題の中心にあるアガボンチフスカさんの経歴や、高梨沙羅選手の語っていた「当日のスーツ測定法が違った」というコメントの真相を調査しました。
アガ・ボンチフスカのプロフィール
- 名前:アガ・ボンチフスカ (Agnieszka Baczkowska)
- 国籍:ポーランド
- ニックネーム:Aga
- 所属:FIS (the Federation of International Skiing)
- 役職:マテリアルコントローラー
アガ・ボンチフスカのスーツ測定経歴は10年以上?
アガボンチフスカさんは、5選手がスーツサイズ規定違反により失格となった騒動の後のインタビューで「過去10年で最も厳しい1日だった」「これがこのポジションを務めて11シーズン目となるワールド杯」と語っています。
この発言からも10年は同じような仕事で経歴を積んできていると思われますが、実際のところはどのような経歴なのでしょうか?
まず、アガボンチフスカさんは、”FIS”と呼ばれる組織のメンバーです。
FISは”the Federation of International Skiing”の略であり、1924年フランスのシャモニーで開催されたオリンピックの際に設立されました。
FISはスキーやスノーボード関連の様々な競技の大会運営などをしています。
アガボンチフスカさんのインタビューによると、FISのメンバーとしてマテリアルコントローラー(機材検査官)のポジションに2011年頃から就いているそう。
2011年、FISのメンバーとなった理由として、当時はスキージャンプ界のコーディネーターに女性が少なく、女性としてスキージャンプ界を一新する使命を感じていたことを語っています。
また、アガボンチフスカさん自身はスキージャンプの経験がありませんでしたが、このスポーツを愛し、完全な知識があれば、元選手と同じレベルの仕事ができると話していました。
上の画像は2017年のワールド杯でのアガボンチフスカさんです。(写真右)
どの段階でスキージャンプ界に興味を持ったのかはわかりませんでしたが、競技経験がないまま、同競技に携わることを決めたということは、かなり強い意志があったのではないでしょうか?
北京五輪でのスキージャンプの測定法が違った理由は?
北京五輪スキージャンプ競技のスーツサイズ規定違反が今回の問題の争点となっていますが、その違反失格者の中に含まれている高梨沙羅選手の発言が日本では注目を集めていました。
「当日のスーツ測定法が違った」
こちらは、全日本スキー連盟(SAJ)の聞き取りに対しての高梨沙羅選手自身の回答です。
当日のスーツの測定法が違ったとのことですが、通常の測定法は一体どのように行われているのでしょうか?
通常であれば、
①事前に国際スキー連盟(FIS)にスーツやスキー板のサイズを登録
②試合当日、自分の番があと5番ほどになったらスーツを着た状態で股下の長さ測定
③ジャンプ後に抜き打ちで検査
この通常の”手順”に関しては、普段と同じように行われていたようです。
しかし、高梨沙羅選手が、ジャンプ後の抜き打ち検査では、普段であればスパッツの上から測定されるはずが、今回はスパッツを脱いでの測定をされたと語っています。
また、普段であれば身体から30cmほど離した位置に手をやった姿勢で測定されるはずが、万歳をした状態での測定をされたとも話していました。
この手の位置に関しては、ノルウェー代表の選手も「これまでの検査方法と違う」と言っているようです。
実際のところは現場の選手、または測定員しかわかりませんが、測定の責任者であったアガボンチフスカさんは「新しい測定の手順は行っていない」とのこと。
この測定方法に関しては、素人目では何とも言えませんが、どちらにせよ測定員と選手に話の食い違いがあることがうかがえます。
アガボンチフスカさんは、批判を受けていることに対してこのようにも言っています。
「誰かが10cmも規定より大きいスーツを着てジャンプをしてたらどうしたらいい?そんなの裸眼でも気づくよ!」
「オリンピックでこんなことになるとも思わなかった。参加チームが競技を真剣に捉えて準備も入念にしてくると思っていた。」
スーツがオーバーサイズであった非を認めているチームもありますが、その測定方法の違いや、人の手によってメジャーで測られるアナログさ、抜き打ち検査の不平等性などは今後のスキージャンプ競技の競技性を向上させるためには欠かせないといえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、北京五輪でスキージャンプの機材検査官を務めたアガボンチフスカさんの経歴や、北京五輪でのスキージャンプの測定方法が違ったことについて調査をしました。
5名のメダル有力候補が失格となったことに対して、競技結果への疑念やアガボンチフスカさんへの批判の渦が大きくなってきていますが、アガボンチフスカさん自身は公平さや事実に基づいた適切な処分であったと自身の公平性を主張しています。
高梨沙羅選手も失格になり悔しい気持ちもありますが、結果を変えることはできないので、競技の公平性やより競技自体の人気が高まるような活動にFISを通して取り組んでもらえると期待したいですね。
そしてもちろん、高梨沙羅選手が気持ちを切り替え、次の試合、今後の活躍ができるようにまた応援していきましょう!