2016年ドラフト会議、5球団競合の末ソフトバンクに1位指名された“田中正義投手”。
そんな田中選手の目標は「球速160km/h突破」「投球回数200回」という新人らしからぬ目標でしたが、これまでの実績から誰もが大暴れしてくれることを確信していました。
ところが2022年、通算成績は今季も含め6年間でわずか29試合の登板に留まり未だ未勝利。例年その期待を裏切り続けています。
即エースと言われた彼に何があったのでしょうか。2022年の現状や復帰の有無、そして引退の可能性についても言及していきます。
田中正義の現在の状況は?
2022年の田中正義投手は動画の様にかなり良い仕上がりでした。
高校1年生、そして創価大学4年時に痛めた右肩の影響で入団4年目まで目立った活躍ができず、2021年にようやく18試合登板1H防御率2.16をあげ復調の兆しを見せています。
2021年11月に行われた秋季キャンプでは、その真摯な姿勢と調整方法から藤本博史監督より「本キャンプのMVPだよ」と言わしめるほどの順調ぶりでした。
そんな中巡ってきた2022年2月22日の『球春みやざきベースボールゲームズ:ソフトバンク vs 西武戦』
開幕ローテ入りの試金石となる本試合では、中村・山川・森選手らを見事封じ込み、2回無安打無失点。藤本監督より開幕ローテ候補と明言されます。
続く3月3日の対中日オープン戦でも最速154km/hのストレートが冴え、3回2安打1失点。3月11日の春季教育リーグで再度中日と対峙し完璧に抑え込みます。
開幕ローテ入りをほぼ手中に収めているソフトバンクの田中正義投手(27)が、10日の春季教育リーグ・中日戦(タマスタ筑後)で先発して好投を見せた。
今年最長の5回を投げて4安打1失点。「2巡目、3巡目にどう投げていくか」をテーマに掲げた中で4三振を奪うなど結果を残した。
引用:西日本スポーツ
ところが3月20日の対広島オープン戦、またしても田中投手を悲運が襲います。3回まで1失点のみの田中投手。4回も当然マウンドに上がりますが、ここでまさかの緊急降板…
なんと、右肩に違和感があった様です。
3月22日には2軍で再調整という憂き目になります。
その後試合ありきの2軍からも外れてしまい、肩の調整を優先するため“リハビリ組”に合流する運びとなります。
そして未だリハビリ組を抜け出せず、現在に至ります。
思えば昨年引退した日本ハムの斎藤佑樹投手も肩の故障から、遂に11年の現役生活でかつての輝きを取り戻すことはできませんでした。田中正義投手はこの厄介な故障である【右肩痛】を克服できるのでしょうか。
田中正義の復帰の目処は!?
田中正義投手は2022年7月4日時点で、未だリハビリ組で復帰に向けて調整中であり、実戦登板の目処は全く立たない状況です。
藤本監督は緊急降板後の3月22日にこの様に記者団に話していました。
『ソフトバンクの藤本監督は22日、ペイペイドームで取材に応じ、右肩の違和感を訴えた田中正について「肩の炎症。病院の見解はそんなに大したことではない」と、軽症との見方を示した。20日、広島とのオープン戦で緊急降板していた。
6年目の田中正はキャンプから好投を続け、開幕の先発枠入りが有力だった。今後は2軍で調整する。監督は「1カ月で実戦に戻れればいいかな。そんなに時間はかからないと思う」と話した。』
引用:サンスポ
ただ7月現在、田中投手が実戦に戻る気配は一向にありません。
こちらの動画は5月10日のリハビリの様子ですが、やはり山なりのキャッチボールのみで本格的な投げ込みは行えない状況の様です。
また、6月11日にはようやく打撃投手として実践登板への第一歩を踏み出した田中投手ですが、これまでの5年間を振り返ると2022年度の活躍はかなり厳しいと言わざるを得ません。
2022年7月5日現在ソフトバンクは楽天と熾烈な首位争いをしていますが、ここに来て18人の選手及び球団関係者がコロナウイルス陽性者となる緊急事態に陥っています。
18人の新型コロナウイルス陽性者が出たソフトバンクに疫学調査が行われることが決まった。
プロ野球の斉藤惇コミッショナーが4日、Jリーグとの新型コロナウイルス対策連絡会議に出席後、
「専門の先生方の意見、アドバイスもあり、徹底的な疫学調査をしていただく。ホークスの方も準備をして、先生方の調査を受けたいということです。どうも、マスクを外すことによるリスクが感じられないこともない。今後のこともあり、しっかり疫学調査をしていただけたらと思う」と話した
引用:日刊スポーツ
ここで順調な回復を見せているのなら田中投手の昇格…という話が浮かぶはずです。しかしその兆候は一切ありません。
田中正義投手自体のニュースも乏しい状況です。残念ながら例年通り年内の復活はかなり厳しい状況の様です。
田中正義の引退の可能性はあるのか
結論から話すと田中投手の引退はまだまだ先でしょう。
複数年契約とは言え、ほとんど登板する事のなかった松坂大輔投手に4億円もの大金を払い続けたソフトバンクです。
新たに就任した藤本博史監督も、発言だけ見ると田中投手のポテンシャルをかなり買っている事が伺えます。
また球界に古くからまことしやかに囁かれていますが、注目を集めたり競合したドラ1選手には『雇用期限』…つまり自由契約・トレード不可などの契約が結ばれているとも言われます。
ただ田中投手の懸念材料は右肩痛だけではありません。
「その試合で田中はゴロを捕って、至近距離から一塁へ送球することが3度あり、いずれも山なりのボールだった。ゴルフのパッティングで自分の思い通りの距離が打てないことをイップスという。
精神的な原因などによる運動障害です。私は過去にいろいろな選手を見てきたが、田中は軽症のイップスだと思う」
引用:日刊ゲンダイ
これは田中投手が入団直後の記事ですが、6年間イップス疑惑が付きまとっているのは確かな事です。
多くのOB・選手・コーチ・監督の期待とポテンシャル、そして右肩痛・イップス疑惑と相反する要素を持つ田中投手。
ただし、それすらも凌駕する期待の声が大きいのも事実です。
こちらの動画ではソフトバンクOBの沢村賞投手「摂津正」さんが、勝ちはついていないものの、球速の伸びがすごいと賞賛しています。
ソフトバンク現役レギュラー捕手「甲斐拓也」さんも、試合中に田中投手に歩み寄って、その投球を褒めている様子が映っていますね!
こちらは、元コーチの「入来祐作」さんのコメントですが、入団直後にすごいと思った投手を聞かれ、まずはじめに名前を挙げたのが田中正義さんでした。
田中正義投手に関わったOB・コーチ・現役選手がその素質を認めています。
個人的には同じ様に長年故障で苦しんだヤクルトの「伊藤智仁」が真っ先に浮かびます。
入団当初は先発完投型だった伊藤智仁投手は田中正義投手と同様、投げ過ぎにより右肩を故障し手術に踏み切ります。1993年防御率0点台で新人王を取るのですが、右肩痛によりその後4年間のリハビリを要しました。
そんな伊藤投手が見事戦列に戻りカムバック賞を取ったのが、抑え投手への配置転換です。1997年7勝2敗19セーブ…その後も中継ぎ・抑えとして6勝・8勝・8勝と復活を果たしています。
田中投手が引退を避け活躍する道は、まずは中継ぎに専念する事ではないでしょうか。
まとめ
一般的に投手の致命傷は肘の故障ではなく肩の故障と言われています。
田中正義投手は大きな期待を寄せられ、5球団競合1位という華々しい入団劇を果たしました。
ただ先発にこだわりすぎると選手寿命を縮めかねません。
2021年は18試合ながら防御率2点台と、中継ぎ起用で安定した成績を残し「復活劇」とも言われていました。
150km/h超のキレのあるストレート、確かに先発で使いたいところですが…中継ぎ起用。
そもそもまずは2022年後半に間に合うよう、リハビリをしっかりと行ってほしいものです。