2022年に開催される北京オリンピックですが、2021年12月にアメリカが外交的ボイコットを表明した事をきっかけに、次々とボイコットを表明する国が出て来ています。
そこで、ここでは北京オリンピックで外交的ボイコットを表明した国や、今後ボイコットをするとみられている国についてまとめています。
日本の対応についても、注目が集まっています。
北京五輪の外交的ボイコット国を総まとめ!
2022年2月に開催される北京オリンピックまで2カ月を切った、2021年12月7日を皮切りに、外交的ボイコットを表明する国が相次いでいます。
政府関係者を派遣しないとした中で、スポーツ選手団は派遣するという、あくまでも外交面でのボイコットだと主張しています。
北京五輪外交的ボイコット:2021年12月7日アメリカ
2021年12月7日に、アメリカ合衆国のバイデン政権が、「外交的ボイコット」を行うことを発表しました。中国政府は「すでにアメリカ側に抗議し断固たる対抗措置を取る」と猛反発しています。
アメリカが外交的ボイコットを表明した理由は、人権問題に抗議する事が目的とされています。
- 新疆ウイグル自治区をめぐる人権問題などに抗議し、外交団を派遣しない
中国外務省の趙立堅報道官はこれに対して以下の様に記者に応えています。
米国側はその間違った行動の代償を払うことになる。皆さんは目をこすって待っていてください
TBSニュース
北京五輪外交的ボイコット:2021年12月8日オーストラリア
2021年12月8日、アメリカに次いでボイコットを表明したのは、オーストラリアでした。
オーストラリアのモリソン首相は8日に記者団に対し、来年開かれる北京オリンピックとパラリンピックについて、政府関係者を派遣しないと明らかにしました。
オーストラリアの外交的ボイコットの理由
- 中国政府には新疆ウイグル自治区での人権侵害の協議に対し、中国側が応じていない
- 新型コロナウイルスの発生源を解明するための独立した調査が必要だとオーストラリア政府が考えを示したのに対して、強く反発した中国が、オーストラリア産の農産物などの輸入を制限した状態
同盟国であるアメリカに同調した形となっています。
尚、中国外務省の汪文斌報道官は以下のコメントをしています。
中国は、北京オリンピックにオーストラリアの政府関係者を誰も招待しておらず、彼らが来ようが来まいが、誰も気にしていない
オーストラリアのやり方は、オリンピック憲章にあるスポーツの政治的中立という原則に著しく反するものだ。強烈な不満を示すとともに断固として反対する
NHKニュース
北京五輪外交的ボイコット:2021年12月8日イギリス
2021年12月8日、イギリスのジョンソン首相は「冬季オリンピックに閣僚や政府関係者が出席する計画はない。事実上の外交的ボイコットだ」と表明しています。
更に、中国と人権問題などを協議することについては、「一切ためらいはない」と強調し、やはり人権問題を理由に挙げています。
北京五輪外交的ボイコット:2021年12月8日カナダ
2021年12月8日に、カナダのトルドー首相が、記者団に対して北京冬季五輪に外交団を派遣しない方針を表明しました。
トルドー氏は「中国政府による度重なる人権侵害を大変懸念している」と説明しています。また、選手の参加は認めています。
北京五輪外交的ボイコット: リトアニア
台湾との関係を巡って中国との関係が悪化しているリトアニアは、いち早く外交的ボイコットを表明しています。
北京五輪外交的ボイコット: 2021年12月7日ニュージーランド
2021年12月7日、ニュージーランドも新型コロナウイルスを理由に、 グラント・ロバートソン同国副首相が北京五輪に閣僚級の代表を送らない と外交的ボイコットを表明しています。
北京五輪外交的ボイコット:2022年1月14日デンマーク、オランダ
2022年1月14日にデンマーク、オランダ両政府がそれぞれ、外交団を派遣しない方針を発表しました。
デンマークのコフォズ外相は「われわれは、中国の人権状況を懸念している。政府として五輪に出席しないことを決めた」と述べた。
オランダでは、外務省報道官が「中国の新型コロナウイルス対策で、現地での行動が極めて制限される」ことが理由だとしたうえで、中国の人権状況に対する政府の懸念を示した。
北京五輪外交的ボイコット: 2022年2月3日インド
インド外務省は3日、中国・北京で4日に開幕する冬季五輪の前日に、政府代表を開会式に派遣しない「外交ボイコット」を決めたと表明しました。
インドと中国が国境での係争地で対立を続けていることが背景にあります。両国は20年にインド北部のラダック地方で衝突し、現在も緊張関係が続いています。
今後北京五輪ボイコットを表明しそうな国は?
ドイツ
メルケル政権下時代のドイツは、欧州で最も中国に近いと位置づけられていましたが、政権交代をきっかけに外交的ボイコットが検討課題として挙がっているようです。
中道左派主導にある3党連立政権は、人権尊重や国際法順守を外交の基本に掲げており、ベーアボック氏は、中国のテニス選手・ポンシュアイさんの消息を巡る問題に懸念を示し出席しない考えを示しました。
その後、12月29日にスポーツ行政を担当するフェーザー内相が個人的に出席しない考えを示しています。
ベルギー
中国の人権問題に懸念する各国の議会が、政府に選択を迫っているケースもあり、今後の対応が注目されています。
日本は北京五輪の外交的ボイコットに追随する?
12月7日:国益の観点から自ら判断する
岸田文雄首相12月7日に、北京五輪「外交的ボイコット」について「国益の観点から自ら判断する」と述べています。
林芳正外相も7日の記者会見で「現時点では何ら決まっていない」としながらも「自由、基本的人権、法の支配が中国においても保障されることが重要だ」と述べ、中国の人権問題を考慮する意思を表した。
こうした日本政府の対応に対して、国民では不満を表す声も出ていました。
12月8日:閣僚の派遣を見送り、体育団体幹部を派遣?
12月8日には、日本政府からは「外交的ボイコット」という言葉を使わず、閣僚の派遣を見送る案が出ました。
その代わりとしてJOCの山下会長や室伏広治スポーツ庁長官らの派遣が検討されました。
また、2021年12月8日に、自民党の高市政調会長が、“日本もボイコットをやるべき”と発言した事が分かっています。
IOCの外交的ボイコットへのコメントは?
IOC・国際オリンピック委員会のバッハ会長は、12月8日にアメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダの4カ国が外交的ボイコットに加わる中、表明を発表しました。
私たちは選手に関心があるのです。選手が大会に参加でき、国の支援を受けられることを歓迎します。政治はそれ以外のことで、政治的中立の原則が適用されます。
北京大会に政府関係者らが参加しない外交的ボイコットは各国の政治判断であり、IOCにとって大事なのは選手の参加だと強調した。
テレ朝ニュース
まとめ
2022年2月に開催される北京オリンピックの外交的ボイコットについてまとめました。
外交的ボイコットを表明している国の面々を見て、同調する国が表れました。
日本は、閣僚の派遣を見送るも、「ボイコット」という言葉は使わず中国に配慮した形を取りました。